第24話 絆-27

 リヴェール神父は険しい表情のまま、記憶に甦らせた人物に関する情報の整理に取りかかった。
『そう、たしか一六三五年八月一日、ボルドーの生まれであった。間違いない。あの男の消息を聞かなくなって何年になることであろう。フォンテーヌブロー勅令が出されるまではブルターニュに住み続けていたことはわかっている。その後、多くのユグノーと同様、国外に脱出したのか、それともまだ国内のどこかに潜んでいるのか…。』
画像 彼は自分の本棚から一冊の本を取り出した。その本の表紙には奇妙な穴が三つ開いていた。ネズミや虫の食った跡ではなかった。どの穴も同じ大きさで、等間隔に並んでいた。その穴は裏表紙まで貫通することはなく、頁の途中で止まっていた。表紙の題字はすりきれて読みづらくなっていたが、そこには確かに『自由の法』と書いてあった。

(第24話終わり)

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